【簡単解説】ダムの貯水容量が2倍になるってどういうこと?

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先日、ダム界を震撼させるビッグニュースが入ってきました。

それがこちら!

Yahoo!ニュース
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ダムの貯水容量が2倍になるってどういうこと?

ダムの数が急に増えるわけではないよね??

ダムの数が2倍になるわけではありません!そんなことは短期間でできません

しかし、ダムの貯水容量は2倍になると書いてあります。

これは一体どういうことなのか?解説していきます

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ダムってそもそも何のためにあるの?

それらを説明する前に、前提としてダムってなんのために存在するのかを説明します。

A君
A君

台風とか来た時に水を貯めるのが目的なんじゃないの?

こう思う方も多いと思いますが、ダムにはそれ以外にも様々な役割があります。

それがこちら!

役割説明記号
洪水調節洪水を防ぐ為に事前放流などを行うF
河川維持用水川の渇水を防ぐN
農業用水農業をするための水を貯めるA
上水道用水飲み水を貯めるW
工業用水工場などで使用する水を貯めるI
発電水力発電をするP
ダムの役割一覧

※事前放流:大雨が予想されているときにダム湖の水を川に流し、
      ダムの水の量を減らしておくこと。

FNを治水(水を収める)、AWIPを利水(水を利用する)と言い、
ダムの役割は一つだけの時もあれば、複数を兼ねるときもあります。

このように、洪水を防ぐ為だけではなく、私たちが日常で使用する水をコントロールすることもダムの大きな役割です。

ちなみに、これらの役割はダムカードの表面右上に書かれています。

右上に役割が表示されている。宮ケ瀬ダムは、洪水調節、河川維持、上水道、発電の役割を持つ

今回はこのような3つのダムをサンプルに用いて説明します

Aダム洪水調節/農業用水/河川維持用水
Bダム上水道用水
Cダム発電

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現状のダムは事前放流をしない?

…ここで、勘のいい方は気づいたかもしれません。

先ほどの表をご覧ください。

Aダム洪水調節/農業用水/河川維持用水
Bダム上水道用水
Cダム発電
勘の良い人
勘の良い人

この図でいうとBダムとCダムは洪水の調節はできないってこと?

そういうことです。
すべてのダムが洪水に備えて事前放流をできるわけではありません。

下の図を用いて詳しく説明していきます。

洪水調節があるAダムの場合

気象予報士
気象予報士

明日から明後日にかけて、台風20号がAダムの上空を通過します。

Aダム周辺では大量の雨が降ることでしょう。

Aダム
Aダム

明日から明後日にかけて、大量の雨が降るらしい。

俺の目的は洪水調節だから、

今のうちにたくさん放流してダムの水を減らしておこう!

Aダムは事前放流をしておくことで台風に備えておくことができます。

あくまでも洪水調節を持つダムだからできることです。

上水道用水を貯める目的のBダムの場合

気象予報士
気象予報士

明日から明後日にかけて、台風400号がBダムの上空を通過します。

Bダム周辺では大量の雨が降ることでしょう。

Bダム
Bダム

俺の役割は飲み水をためておくことだから、事前に放流するのは控えておこう。

もし雨が降らなくて飲み水不足になっても困るしな!

Bダムは洪水に備えた事前の放流を行いません。役割の中に洪水調節は含まれていないためです。

今回変更する内容とは?

長くなりましたが、ここからが本題です。

今回変更する内容は、

普段洪水調節をしないダムでも、
洪水調節をするように変更するよ!というものです。

Aダム洪水調節/農業用水/河川維持用水
Bダム上水道用水
Cダム発電

この3ダムの場合、今まではAダムしか洪水調節ができなかったが、
Bダム、Cダムでも洪水調節が可能になるという変更です。

Bダムでも、

Bダム
Bダム

今のうちにたくさん放流してダムの水を減らしておこう!

となるわけです。

良かった!これでより洪水に備えることができるね!

となりますが、ここで1つ新たな問題が生まれます。

今回の変更のリスク

デメリットを流れを追って説明します

気象予報士
気象予報士

Bダム周辺では大量の雨が降ることでしょう。

Bダム
Bダム

俺の役割は飲み水をためておくことだけど、方針が変わったから

事前に放流しておこう!

気象予報士
気象予報士

雨あんま降んなかったわ。ごめんな。てへぺろ。

Bダム
Bダム

事前に放流しちゃったから飲み水用の貯蓄が残ってないよ、どうしよう。。。

このように、天気予報が外れた際に本来の用途の水がなくなるリスクがあります。

政府もこの事実を認識しています。

事前放流によって水不足になった際には、政府が給水車を利用する費用を負担するなどの対策を設けるようです。
以下の記事にそのような記載がありました。

国交省は、事前放流後に貯水量が回復しなかった場合に、代替発電費用や取水制限に伴う給水車の費用などを国が補塡することを定めたガイドラインを策定。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ef25e0491a4e350b3ee34b1b22e4f4c3267139a5

なぜこの変更を今実施したのか

なんで今、この変更を実施したのか。

これに関しては、筆者の推測ですが、2つあると考えています。

去年の豪雨の影響

去年7月に西日本豪雨、10月頃にも千葉県を主に大雨が観測されました。年を追うごとに自然災害の規模は巨大化しており、それらに対応するためであるというのが1つ目です。

天気予報精度の改善

私的に一番大きいのはこれだと思います。
近年、技術の進歩によって、天気予報が全く当たらないことはほぼなくなりました。

天気予報が正確になれば、今回の変更で生じるリスクも減少するため今回の変更に踏み切ったと考えられます。

どのくらい効果があるの?

今回、この運用変更を実施することで、八ッ場ダム50個分の洪水調節の容量が確保できるとされています。

これは現状洪水調節で利用できる容量のおよそ2倍とのことです。

まとめ

今回のまとめとしては以下の3点

  1. 【現状】洪水調節の役割を持つダムしか台風に備えることができなかった
  2. 【今回の変更】それ以外の目的のダムも台風に備えることができるようになった
  3. その内容変更によるリスクも存在する。

以上!

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